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2003/06/17
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大泉堤防之由縁
宮城縣知事 千葉三郎題額
此ノ北上川ハ舟運灌漑ニ益スル處大ナルモ屡々決潰明治八年七月十一日ノ濁流ハ栗原遠田両郡ニ氾濫一瞬ニシテ泥海ト化シ死者四十一名流失家屋百五十戸耕地ハ荒廃シ其ノ惨状筆舌ニ盡シ能ハナリシト聞ク其ノ後數回氾濫シ為ニ北上川治水ニ關スル沿岸町村民ノ聲昻リ大正二年四月内務省直轄大改修工事ニ於テ約三尺嵩上増補工事ヲ施工セシニヨリ沿岸町村民安ンジテ生業ニ精励スルヲ得タリキ 昭和二十二年九月戰時中ノ山林濫伐ニ加フルニカサリーン颱風ノ襲来ニ因リ水位ハ明治八年ヨリモ一米餘高キ未曾有ノ洪水トナリ十六日午後三時ヨリ溢水シ關係者必死ノ防水作業モ空シク午後九時十五分本地点ニ於テ二百五十米決潰最後迄敢闘セル關係官等ハ濁流ニ押流サレ尊キ犠牲者ヲモ出シ有史以来未ダ見サル死者十五名流失家屋二百七十一棟全半壊四百八棟床上床下浸水五千九百八戸ニ達シ一望泥海トナリ被害耕地八千餘町ニ及ビ亦構作物ノ被害激甚ニシテ全ク目ヲ掩ハシムルモノアリ仝三十日畏クモ三笠御名代宮殿下ノ御視察ヲ賜リ罹災民ノ御慰問ヲ辱ウシ有難キ陛下ノ御言葉ヲサヘ傳ヘサセラル一同感激ニ咽ビ之ガ復興ヲ誓フ 復旧工事ハ縣佐沼土木出張所ノ直營ニテ仝十九日ヨリ着手シ一米ノ嵩上ニ三米ノ裏小段ヲ附シタル延長千四百米ニ及ブ増補モ地元民ノ絶大ナル協力ニ依り驚異的短期間ニ完成スルヲ得郡民齊シク安堵シタリ古ヨリ治國ノ要諦ハ治水ニアリト聞ク吾等日頃ノ河川愛護コソ悲惨ナル災害ヲ未然ニ防グ要道タラン茲ニ災害ノ一端ヲ誌シ後世ノ訓ヘトナス
公平 雄助撰文
昭和二十三年盛夏 米谷 小出儉三郎書
渇水位 一米
平水位 一米八〇
洪水位
明治八年七月十一日 一〇米九五
仝 四十三年九月四日 一〇米五七
大正二年八月二十九日 一〇米七八
昭和十九年七月十九日 一〇米八〇
仝 二十二年九月十六日 一一米九七
雨量 上流部 二〇〇粍
十四日 佐沼 八三粍
十五日 佐沼 八五粍 一六八粍
工事關係者
宮城縣知事 千葉三郎
仝 縣會議長 高橋 清
仝 副知事 高橋進太郎
仝 土木部長 照井隆三郎
仝 河港課長 大谷 英
（以下略）
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