蓮ダム青田区想碑

Go Index 日本の川に戻る 櫛田川水系に戻る 蓮ダムに戻る Last update 2006/01/28



 昭和三十四年九月二十六日、東海地方に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風は、櫛田川流域にも未曾有の大災害を残して去った。
この台風を契機に流域を水害から守る目的で、建設省によって計画されたのが蓮ダムである。
しかし、この蓮ダムの建設計画は青田の住民に大きな変革と決断を強いるものとなった。区内の丁組のほぼ全域と、深山小学校・青田保育所などの水没が必至となり、残る上・中出・中屋組の三部落は、他の地域社会から孤立する事となった。又急激な人口の減少によって、住民の生活基盤を脅かす憂慮すべき事態に直面した。
この時、全戸移転問題が持ち上がったのである。
そしてこの全戸の移転を決断する至る迄は、その賛否を問い昼夜を分たず論議の限りを尽くした。
しかし、残存か、移転かを現実の問題として捉えた時、過疎化と高齢化が尚一層深刻化せる事態が予測され問題解決の妙案もなく、長い青田の歴史のなかで祖先が営々として築き上げた気風を守り、時と所を移してもその精神を継承する事こそ、我々に与えられた使命と考え、正に断腸の思いで全戸移転を決意したのである。
父祖伝来の地を去るに当たりその経緯と筆舌に表現できない諸々の思いとを当時の区民の氏名と共にこの碑に刻み永く世に伝えるものである。
   平成三年八月吉日  元青田区々民一同

(裏面)
下組、中屋組、中出組、上組別に氏名を記載


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