クリプトスポリジウム
読み: くりぷとすぽりじうむ
スペル: Cryptosporidium
説明文: 病原性微生物.世界中に分布し、人のほか、家畜、野生動物などに感染しているため汚染源は広く存在する.多くの種があり、人に感染して下痢を起こすもの、そうでないものがある.
水中からクリプトスポリジウムが検出されても人に感染して下痢を起こすものであるかどうかの判定は難しい.人や家畜の体外に排出された虫体は塩素に対し極めて強く、塩素消毒のみの浄水処理では感染を防げない.
哺乳動物での経口摂取による消化管内で増殖し、環境水中では増殖しない.排出物が感染源となる.
潜伏期は数日〜10日程度と考えられている.感染すると腹痛を伴う水様性下痢が3日から1週間程度続き、嘔吐、発熱を伴うこともある.症状が出ない場合もあるが、感染者の糞便からは数週間嚢包体(オーシスト)が排出される.免疫により原虫が増殖できなくなると自然治癒する.
我が国では、平成8年6月の埼玉県越生町、平成11年7月の山形県朝日村における水道水を通じた感染例が有名である.どちらも塩素注入のみの浄水方法であった.
急速濾過法、緩速濾過法、膜濾過法では相当程度の除去が期待されるが、いずれにしても濁度を低く抑える厳重な浄水管理が必要である.
受水槽の汚染による感染例もあり、ビル、集合住宅の管理にも注意が必要.
関連用語リスト: Cryptosporidium
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